

アメリカの医療制度は世界で最も高額である一方、医療の質・効率性・公平性*といった主要な指標では、他の先進国に比べて劣っています。この格差を理解するために、チームでは日本・台湾・中国のアジア諸国の医療制度を調査し、費用、財源、医療アクセス、制度のパフォーマンス、健康成果の観点から比較を行いました。
日本
制度モデル
国民健康保険(NHI):単一保険者による社会保険制度で、給与課税保険料と税金によって運営。
台湾
中国
アメリカ合衆国
制度モデル
公私混合型:複数の公的保険プログラムが地域ごとに異なる給付内容を持ち、民間保険および自己負担支出で補完。
制度モデル
混合型制度:民間保険、雇用主提供保険、公的プログラム(Medicare・Medicaid)および自己負担支払いの組み合わせ。
適用範囲
すべての永住者に保険加入が義務付けられ、98.3%の人口をカバー。残りは公的扶助制度により保障。
適用範囲
全国民および合法居住者の99%以上をカバー。
適用範囲
異なる制度を通じて95%以上の国民をカバー。ただし地域・職種により補償内容に大きな差がある。
適用範囲
約8%の国民が無保険、さらに多くの人々が「十分な補償を得ていない」状態。
財源
雇用主と従業員による強制的な拠出金で賄われ、税金で補完。保険料は所得に基づいて算出。
財源
雇用者・被雇用者・政府からの保険料、さらに非給与所得への課税で構成。
財源
政府補助金、雇用主・従業員の給与課税、そして多額の自己負担支払いで構成。
財源
雇用主および個人の保険料、政府による公的プログラムへの税金、利用者負担金によって運営。
費用管理
NHI庁(NHIA)が医療分野ごとの予算枠を設定し、出来高払い方式(fee-for-service)を採用。
費用管理
政府が薬剤・医療サービスの価格を交渉。地方政府が病院価格を設定し、診断群別包括支払い方式(DRG)への移行を進めている。
費用管理
価格規制はほぼ存在せず、民間保険会社と医療提供者の間で価格が個別に交渉される。
費用管理
政府が全国一律の診療報酬表を設定し、2年ごとに価格交渉を行う。
医療アクセス
紹介状なしで自由に医療機関を選べる。クリニック・病院いずれも利用可。
医療アクセス
紹介制限なしでどの専門医にも直接受診可能。
医療アクセス
都市部ではアクセスが良いが、上位病院への集中による待ち時間の長さが問題。地方(農村部)ではアクセスが大幅に制限されている。
医療アクセス
保険プランにより大きく異なり、アクセス制限や長い待ち時間が発生する場合がある。
負担の軽さ
自己負担は低く、年間上限が設定されている。
負担の軽さ
自己負担額は低く、重大疾病に対しては自己負担額に上限がある。
負担の軽さ
公的保険が広く普及しているものの、重病や慢性疾患では高額な自己負担が発生。
負担の軽さ
自己負担が高く、高額の保険料・免責金額(デダクタブル)が一般的。
医療費のGDP比
10.9%(2021年)と低水準。
医療費のGDP比
6.1%(2017年)と非常に低い。
医療費のGDP比
7.05%(2022年)で上昇傾向だが、アメリカよりは低い。
医療費のGDP比
約17%(2021年)で、先進国中で最も高い。
健康成果
非常に良好。平均寿命は84歳(2016年)。
健康成果
良好。平均寿命は80歳以上。
健康成果
改善中だが、日本や台湾に遅れをとる。都市と農村の健康格差¥も依然存在。平均寿命は78.2歳(2022年)。
健康成果
他の先進国と比べて低い。平均寿命は77.5歳(2022年)。
制度評価
全体的に高評価。ただし、高齢化による財政的圧迫が課題。
制度評価
2021年にCEOWORLD誌で第1位にランク。2024年のイノベーション指数では第15位。
制度評価
2025年のCEOWORLD誌で第5位にランクイン。大きな進歩を反映。
制度評価
高い技術革新性を持ちながらも、費用の高さと不平等なアクセスにより全体順位は低位。
医療制度の比較
制度モデル
法定健康保険制度(SHIS):税金と保険料による社会保険モデル。
